Index:Book/雑草のはなし―見つけ方、たのしみ方

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「雑草のはなし―見つけ方、たのしみ方」 田中 修 (中公新書) より。

Contents

春に咲く雑草(暑さに弱いものが多く種で夏を過ごす)

Name 和名 科名 解説
Taraxacum sp. タンポポ キク科 花の付け根にあるがく(外総苞片)が反り返るものが西洋タンポポ、そうでないのが在来種。在来種は春に咲くが、外来種は一年中咲く。
Astragalus sinicus L. レンゲソウ マメ科 ゲンゲ。畑にレンゲを植えるのは根粒菌が窒素固定をしてくれるから。すきこんで窒素肥料になる。
Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh. カラスノエンドウ マメ科 笛遊びに使う。形が小さいものはスズメノエンドウ。中間サイズはカラスとスズメの頭文字をとって、カスマグサという。
Veronica persica Poir. オオイヌノフグリ ゴマノハグサ科 名前は花ではなく実の形に因む。地面を這わずに立つものはタチイヌノフグリ。自家受粉できるが、雌しべは2本しかなく他家受粉を狙う。
Erigeron philadelphicus L. ハルジオン キク科 漢字は春紫苑。つぼみが下を向きピンク色を帯びた花を春に咲かせる宿根草。葉は茎を囲む様に広い。対してヒメジョオン(姫女苑)はつぼみが上を向き、白色の花を秋まで咲かせる。葉は付け根が狭い。姫紫苑(ヒメジオン)は別種なので名前に注意。
Oenanthe javanica (Blume) DC. セリ セリ科 春の七草。若葉の成長が早く「競り」から。
Capsella bursa-pastoris (L.) Medik. ナズナ アブラナ科 春の七草。語源は撫菜、夏無とも。別名ペンペングサ、シャミセングサ。
Gnaphalium affine D.Don ハハコグサ キク科 春の七草におけるゴギョウ。別名オギョウ。明るい黄色の花。種は赤色光で発芽する。同じ科のチチコグサは暗褐色の花を咲かせる。よく見かけるのは花を多くつける帰化種のチチコグサモドキ。
Stellaria sp. ハコベ ナデシコ科 春の七草におけるハコベラ。別名ヒヨコグサ、chick weed。5枚の花弁が基部まで裂けていて10枚に見える。雌しべが5本に分かれるのはウシハコベで3本のハコベと区別される。また花弁が裂けないのはオランダミミナグサ。
Lapsanastrum apogonoides (Maxim.) J.H.Pak et K.Bremer コオニタビラコ キク科 春の七草におけるホトケノザ。漢字は田平子。田園のみに分布し、あちこちにあるのはオニタビラコ。
Brassica rapa L. スズナ アブラナ科 春の七草。別名カブ、カブラ、カブラナ。アブラナ属で花は黄色。染色体数20本で、スズシロと区別できる。
Raphanus sativus L. var. hortensis Backer スズシロ アブラナ科 春の七草。別名ダイコン。ダイコン属で花は白か紫。染色体数18本。桜島ダイコンは丸いがカブではない。
Lamium amplexicaule L. ホトケノザ シソ科 春の七草のそれとは違うので注意(コオニタビラコ参照)。葉は丸くぎざぎざで茎の断面は四角形。赤紫の花だが、つぼみのままでも種を作れる(閉鎖花)。
Lamium album L. var. barbatum (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav. オドリコソウ シソ科 小さい種はヒメオドリコソウ。2枚と3枚の花弁が上下に分かれる。葉はスペード型で、茎の断面が四角形。シソ科には四角形の茎が多い。
Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell ニワゼキショウ アヤメ科 石菖とは石に生える菖蒲のこと。薄紫の6弁花。北アメリカ原産で観賞用に帰化。
Sonchus oleraceus L. ハルノノゲシ キク科 葉が芥子に似て、初夏にタンポポ似の花を多くつける。似た種にオニノゲシがある。
Mazus pumilus (Burm.f.) Steenis トキワハゼ ゴマノハグサ科 ムラサキサギゴケに似るが地面を這う茎を持つ。薄紫か白い花を早春から秋まで咲かせるので永久不変を意味する常盤と名づけられた。
Taraxacum albidum Dahlst. シロバナタンポポ キク科 花が白いタンポポの在来種。
Sagina japonica (Sw.) Ohwi ツメクサ ナデシコ科 漢字は爪草。白色の5弁花。高さは10センチに満たず先の尖った葉を持つ。種は赤色光で発芽。
Viola mandshurica W.Becker スミレ スミレ科 栽培品種が三色スミレ(パンジー)やビオラ。「墨入れ」という名前は花が大工の墨壷に似ることから。
Cardamine scutata Thunb. タネツケバナ アブラナ科 漢字は種漬花。田植えのため種籾を水につける頃、小さい白花を咲かせる。

初夏に映える緑

Name 和名 科名 解説
Plantago asiatica L. オオバコ オオバコ科 漢字は大葉子。別名、車前草。穂は下のほうから雌しべが先に熟し、雄しべが花粉を出す頃には枯れる雌雄異熟という性質を持つ。(モクレンも雌雄異熟。)種は赤色光で発芽。
Spirodela polyrhiza (L.) Schleid. ウキクサ ウキクサ科 1枚の葉状体に数本の根が生えるのがウキクサ、1枚につき根が1本なのがアオウキクサ。増殖力が強く、タンパク量も多い(乾燥重量の37%)。窒素源が不足してくると、花を咲かせる(花弁は無い)。アオウキクサ、ボタンウキクサ、アフリカホウセンカはサリチル酸またはアスピリンでつぼみを作ることが知られる。
Pteridium aquilinum (L.) Kuhn var. latiusculum auct. non (Desv.) Undrew. ex Hell. ワラビ コバノイシカグマ科 シダ植物。胞子のほかに有性生殖もする。ワラビ餅はもともとワラビのデンブンが原料だが、現在はサツマイモでんぷん。
Equisetum arvense L. スギナ トクサ科 シダ植物。ツクシ誰の子スギナの子。
Polytrichum juniperinum Willd. ex Hedw. スギゴケ 蘚苔類 園芸用はオオスギゴケとウマスギゴケ。園芸用は日当たりを好む。
Oxalis corniculata L. カタバミ カタバミ科 3枚のハート型の小葉は生物時計に基づく就眠運動をする。茎が立ち上がるのはオッタチカタバミ。葉にはシュウ酸(oxalate)が多い。
Oxalis debilis Kunth subsp. corymbosa (DC.) Lourteig ムラサキカタバミ カタバミ科 カタバミより大きく、オキザリスの名で園芸種も存在。花は開閉する度に少しずつ生長する。
Trifolium repens L. クローバー マメ科 花が白いシロツメクサのこと。花が赤いのはアカツメクサ。江戸時代、オランダからの荷物の詰め物に利用されたため、詰草と呼ぶ。葉は卵形3枚の小葉で、カタバミとは葉の形で区別できる。
Dactylis glomerata L. カモガヤ イネ科 別名オーチャードグラス。牧草で、ヨーロッパにおけるイネ科花粉症の原因。最初の報告は1819年イギリス(hay fever)。
Zoysia japonica Steud. ノシバ イネ科 葉幅が4mmできめが粗い。3mm以下はコウライシバと呼ぶ。ともに在来種。セイヨウシバより乾燥に強く寒さに弱い。
Chenopodium album L. シロザ アカザ科 葉の付け根が白い。付け根が赤いものをアカザと呼ぶ。葉は食用。種は温度変化を感知して発芽。
Galium spurium L. var. echinospermon (Wallr.) Hayek ヤエムグラ アカネ科 葉が勲章のように広がる。広がる葉のうち本来の葉は2枚だけで残りは托葉。茎の断面が四角形。カナムグラを参照。
Alopecurus aequalis Sobol. var. amurensis (Kom.) Ohwi スズメノテッポウ イネ科 湿った土地に生え、夏に緑色の花を円柱の穂状につける。穂は雄しべのために褐色にみえる。
Poa annua L. スズメノカタビラ イネ科 シバに似る。一回り大きいものはカラスノカタビラ。カタビラ(帷子)とは裏地のない着物のこと。
Fallopia japonica (Houtt.) Ronse Decr. イタドリ タデ科 漢字で虎杖。酸味があり擦り傷等の痛みを取ることから。

夏に咲く雑草

Name 和名 科名 解説
Commelina communis L. ツユクサ ツユクサ科 葉の表皮がはがれ易く気孔が大きいので観察に使われる。花が大きい栽培種はオオボウシバナ(アオバナ)。青い色素コンメリニン(commelinin)は江戸時代から友禅染等に使われた。最近は血糖値降下作用が見出され、健康食品に入れられる。アオバナは滋賀県草津市の市花。
Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena (M.Bieb.) H.Hara ネジバナ ラン科 右巻き左巻きのどちらも存在。
Paederia scandens (Lour.) Merr. ヘクソカズラ アカネ科 別名ヤイトバナ。名前の由来は植物体に含まれる香り成分メルカプタンから。
Calystegia pubescens Lindl. ヒルガオ ヒルガオ科 アサガオ、ヨルガオと同じヒルガオ科。他家受粉なのであまり種をつけず、地下茎で育つ。ユウガオだけはウリ科でその実を干したものが干瓢(かんぴょう)。
Oenothera tetraptera Cav. ツキミソウ アカバナ科 本来は特定の種をさすが、一般にはマツヨイグサの近縁種を全てそう呼んでしまう。夜来香とは別種。
Pistia stratiotes L. ボタンウキクサ サトイモ科 別名ウォーターレタス。食べられない。繁殖力が旺盛で指定外来種。
Eichhornia crassipes (Mart.) Solms-Laub. ホテイアオイ ミズアオイ科 別名ウォーターヒヤシンス。繁殖力が旺盛で指定外来種。特に水質浄化に役立つわけではない。
Cayratia japonica (Thunb.) Gagnep. ヤブガラシ ブドウ科 別名ビンボウカズラ。他家受粉。
Portulaca oleracea L. スベリヒユ スベリヒユ科 栽培種はポーチュラカ、マツバボタン。ぬめり気を持ち、食用。代表的なC4植物で乾燥に強い。
Houttuynia cordata Thunb. ドクダミ ドクダミ科 名前はその臭気をあらわす「毒溜め」から。白い花びらに見えるのは苞(ほう)で、中央の黄色部分が花の集合。センブリ、ゲンノショウコと並ぶ三大民間薬。
Echinochloa crus-galli (L.) P.Beauv. var. crus-galli イヌビエ イネ科 名前はヒエと違って食べられないから。イネに似て水田に多い。

秋に咲く雑草

Name 和名 科名 解説
Lycoris radiata (L'Hérit.) Herb. ヒガンバナ ヒガンバナ科 別名マンジュシャゲ(曼珠沙華)、ハカバナ、カジバナ。英名はred spider lily。栽培種がネリネで、ダイヤモンドリリーとも。球根が持つ水溶性の毒リコリンは有名。三倍体のため種子を作らず球根でのみ繁殖。全国のヒガンバナは人為的に増やしたクローンに相当。葉は花が枯れた後に出るためハミズハナミズ(葉見ず華見ず)、相思華ともいう。黄色い花は同科のショウキイズイセンやキツネノカミソリ。
Solidago altissima L. セイタカアワダチソウ キク科 北アメリカ原産で繁殖力が強い。cis-dehydromatricaria ester(methyl 2-decene-4,6,8-triynoate) を産生し周囲の植物が育つのを阻害する。英名tall golden rod。
Conyza canadensis (L.) Cronquist ヒメムカシヨモギ キク科 別名テツドウグサ。線路に多い。北アメリカ原産。オオアレチノギクに似るが黄色の筒状花の周りに白い舌状花をもつ。
Conyza sumatrensis (Retz.) E.Walker オオアレチノギク キク科 南アジアあるいは南アメリカ原産。白い舌状花がない。
Lespedeza sp. ハギ マメ科 秋の七草。万葉集には梅や桜より多く詠まれるが、ハギという名前の植物は無い。紫紅色の花はミヤギノハギ、白いシラハギ、葉が丸いマルバハギ、秋の七草のヤマハギなどがある。雑草としてみるのはヌスビトハギ、アレチヌスビトハギ。
Miscanthus sinensis Andersson ススキ イネ科 秋の七草。茅葺屋根のカヤはたいてい、ススキ。代表的なC4植物。
Pueraria lobata (Willd.) Ohwi クズ マメ科 秋の七草。別名クズカズラ。紅紫色の花を房状につける。根からとれるでんぷんがクズ粉。繁殖力が強い。
Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai f. glaber (Makino) Murata ネザサ イネ科 丈が低く中部地方以西でもっとも分布が広い笹。タケやササは60または120年周期で花を咲かせると言われる。関西のネザサが一斉開花したのは1970年春。花は数ミリでイネのように地味。
Chamaesyce humifusa (Willd. ex Schltdl.) Prokh. ニシキソウ トウダイグサ科 小さいものがコニシキソウ。関取とは関係ない。
Artemisia indica Willd. var. maximowiczii (Nakai) H.Hara ヨモギ キク科 よく燃える意味の「善燃木」に由来。特徴的な香りはシネオール。葉裏の白い毛を集めたものがモグサ。ブタクサとともに秋の花粉症の原因。
Ambrosia artemisiifolia L. ブタクサ キク科 葉はヨモギに似るが切れ込みが細やかで葉が節ごとに対になる。花粉症の原因で戦後に広まった。名前は英名hogweedの直訳。
Persicaria filiformis (Thunb.) Nakai ex W.T.Lee ミズヒキ タデ科 花が熨斗袋にかける紅白の水引に似ることから。白だけのものはギンミズヒキ。黄色のキンミズヒキはバラ科になる。
Humulus scandens (Lour.) Merr. カナムグラ アサ科 百人一首における恵慶法師の句「やへむぐらしげれる宿の…」は秋にも茂るカナムグラといわれる。(現在のヤエムグラは秋に枯れる。)ビールに使うホップの近縁だが雌花には苦味も香りもない。

秋の雑草(冬の寒さに弱いものが多く種で冬を過ごす。冬の寒さががないと発芽しない種が多い。)

Name 和名 科名 解説
Xanthium strumarium L. オナモミ キク科 1978年㈱クラレが開発したマジックテープのモデルといわれるが、実際のモデルは野生ゴボウの実。夜の長さを15分単位で感知し結実する。
Cardiospermum halicacabum L. フウセンカズラ ムクロジ科 もともと観賞用として輸入され、風船のような実をつける。英名balloon vine。
Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama ヒメクグ カヤツリグサ科 茎の断面が三角形。茎の先端には3枚の葉をつけ、球状の花が咲く。
Digitaria ciliaris (Retz.) Koeler メヒシバ イネ科 漢字は雌日芝で、畑の雑草の女王と呼ばれる。別名相撲取り草。茎が扁平で実が二重につくものはオヒシバ(雄日芝)。なかなか抜けないのでチカラシバとも呼ばれる。
Achyranthes bidentata Blume var. fauriei (H. Lév. et Vaniot) ヒナタイノコズチ ヒユ科 生薬になる。茎の節が膨らんで猪の膝頭のようなので、猪小槌。中国では牛の膝にみたててゴシツ(牛膝)と呼ぶ。日陰に生えるのはヒカゲイノコズチで見分けは困難。
Setaria viridis (L.) P.Beauv. エノコログサ イネ科 穂が湾曲するのはアキノエノコログサ、穂が金色のものはキンエノコログサ。通称猫じゃらし。英名foxtail grass。
Persicaria longiseta (Bruijn) Kitag. イヌタデ タデ科 刺身のつまになる芽タデ(ヤナギタデ)のような辛味を持たないのでイヌタデ。赤い粒状の実をつけ、別名アカマンマ。
Persicaria capitata (Buch.-Ham. ex D.Don) H.Gross ヒメツルソバ タデ科 秋に多くの金平糖のような球状の花を咲かせる。インド・ネパール原産。
Sonchus asper (L.) Hill オニノゲシ キク科 ハルノノゲシに似るが季節を問わず咲く。
Rumex acetosa L. スイバ タデ科 葉や茎全体が赤みがかっている。その名は、シュウ酸を多く含み酸味があるから。放射状のロゼットで冬を過ごす。似たものにギシギシがある。
Lolium temulentum L. ドクムギ イネ科 バッカクともいい、イネ科に寄生するバッカク菌のこと。(イネ科の植物自体に毒は無い。)17世紀になるまで中毒症状が「聖アンソニーの火」として恐れられた。
Lolium multiflorum Lam. イタリアンライグラス イネ科 別名ネズミムギ。西洋シバの一種。日本シバが匍匐茎で横に伸びるのに対し、直立茎で上に伸びる。成長が速い牧草。暑さと乾燥に弱い。
Festuca arundinacea Schreb. トールフェスク イネ科 別名オニウシノケグサ。西洋シバの一種。イタリアンライグラスより暑さに強い。
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