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[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf 厚生労働省の定める野菜の摂取制限指標]は1kgあたり2,000ベクレルです。
 
[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf 厚生労働省の定める野菜の摂取制限指標]は1kgあたり2,000ベクレルです。
  
===水道水とシーベルト===
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===水道水の汚染===
WHOから[http://www.who.or.jp/index_files/FAQ_Drinking_tapwater_JP.pdf 資料]が出ているので参考にしてください。1リットルあたり300ベクレルの水を飲んでも年間2.5 mSvと計算されています。
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WHOから[http://www.who.or.jp/index_files/FAQ_Drinking_tapwater_JP.pdf 資料]が出ているので参考にしてください。1リットルあたり300ベクレルの水を飲んでも年間2.5 mSv と計算されています。汚染がヨウ素-131に基づくと仮定すると1日あたり
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汚染された水を摂取する計算になっています。水として飲む分は1リットルかもしれませんが、料理に含まれる水分もご飯のように多くの水道水を含みます。人間が一日に必要とする水の量は 3 リットル程度と考えられるので<ref>一日に体から排出される水分量が2.3リットルという情報が[http://www.suntory.co.jp/water/waterbook/human/page5.html サントリーのウェブサイト]にあります。</ref>、その水分すべてが汚染されているのなら、年間 2.5 &times; 3 = 7.5 mSv になるでしょう。
  
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Revision as of 14:55, 1 April 2011

Contents

放射性同位体と人体への影響

線量限度

(知恵蔵2011より)
個人が受ける放射線量をできるだけ抑えるために設定された値をいいます。国際放射線防護委員会(ICRP)が、主として広島、長崎の原爆被爆者のデータを解析して勧告の形で発表している値は、一般人について年間1mSv、放射線作業従事者には5年間の年平均で20mSv (ただしどの年も50mSvを超えない)です。ただし自然界から普通にうける放射線、レントゲン等の医療放射線は除外します。これは「合理的に達成できる限り制限する」との方針に基づいています。

  • 1 mSv / year 国際放射線防護委員会が勧告する限度 (自然放射線、医療放射線を除く)
  • 1.4 mSv / year 自然界から受ける放射線量の日本平均
  • 2.4 mSv / year 自然界から受ける放射線量の世界平均 (1988年国連科学委員会報告)
  • 100 mSv 国立がん研究センターの発表で発ガンリスク 0 とされる線量
  • 200 mSv 短期間に浴びると一部の人にがんが発生する可能性があるとされる値
  • 260 mSv / year 自然放射線量が多いとされるインド・ラムサール地域の線量 [1]
参考文献
  1. サイエンス誌の記事 より。記事には線量が260 mグレイ/年とあります。ラムサール地域の人に発ガン率が高いことは全くなく、むしろ健康であることをradiation paradoxとして紹介しています。グレイからシーベルトへの換算には、放射線がベータ線であるとしました。換算は青森の排出放射性物質調査を参考にしました。英語版ウィキペディアを含む多くのウェブサイトでインドのラムサール地方の年間放射線量が 260 mSv/year と記述されていますが、正確には mGray の間違いです。

ベクレルとシーベルト

放射線による人体への影響度合いをシーベルト (Sv) であらわし、放射性物質が放射線を出す能力をベクレル (Bq) であらわします。換算値は放射性物質毎に異なり、以下の表は原子力資料情報室から作成しました。

記号 名前 半減期 解説 吸入摂取した場合の実効線量係数(mSv/Bq) 経口摂取した場合の実効線量係数 (mSv/Bq)
137Cs セシウム-137 30.1年 セシウムの代表的な放射性同位体。ベータ線とガンマ線を出してバリウム-137になります。 6.7×10-6 1.3×10-5
90Sr ストロンチウム-90 29.1年 ベータ線を放出してイットリウム-90、更にベータ線を放出してジルコニウム-90になります。 7.7×10-5 (チタン酸ストロンチウムの場合)
3.0×10-5 (それ以外)
2.7×10-6 (チタン酸ストロンチウムの場合)
2.8×10-5 (それ以外)
131I ヨウ素-131 8.04日 ベータ線を放出してキセノン-131となり、ガンマ線も出します。 1.1×10-5 (ヨウ素化メチル以外) 2.2×10-5 (ヨウ素化メチル以外)

野菜の汚染

今回、飯館村で採取された野菜からは1kg当たり放射性ヨウ素17,000ベクレル、セシウム13,900ベクレルが計測されました (2011年3月24日の報道。厚生労働省による)。1日の野菜摂取量の目安は350gなので、汚染された野菜を洗ったりせずに蒸すなどして1日分食べると

17000 × 2.2 × 10-5 × 0.35 = 0.13 mSv
13900 × 1.3 × 10-5 × 0.35 = 0.063 mSv

の被曝を受けます。単純計算で1週間食べ続けると

(0.13 + 0.063) × 7 ≒ 1.35 mSv

になります。ヨウ素-131が環境中に放出され続け、今後も減らないという仮定して上記の量を食べ続けると、37週目で放射線従事者の年間限度である 50 mSv に達します。

実際は洗い流す等の処理で圧倒的に低い放射線量に下がるでしょうから、飯館村で採取された野菜を食べ続けたとしても、発がんリスクは無いというのが科学的な判断です。

厚生省の基準値

厚生労働省の定める野菜の摂取制限指標は1kgあたり2,000ベクレルです。

水道水の汚染

WHOから資料が出ているので参考にしてください。1リットルあたり300ベクレルの水を飲んでも年間2.5 mSv と計算されています。汚染がヨウ素-131に基づくと仮定すると1日あたり

2.5 &div; (2.2 10-5 × 300 × 365) = 1.04 リットル

汚染された水を摂取する計算になっています。水として飲む分は1リットルかもしれませんが、料理に含まれる水分もご飯のように多くの水道水を含みます。人間が一日に必要とする水の量は 3 リットル程度と考えられるので[1]、その水分すべてが汚染されているのなら、年間 2.5 × 3 = 7.5 mSv になるでしょう。

  1. 一日に体から排出される水分量が2.3リットルという情報がサントリーのウェブサイトにあります。

放射線量と環境

海水汚染と放射能

高度に汚染された水が福島原発2号機に溜まっていることが報道されています。 報道における汚染度は1 cc (1 ml)のベクレル数で表記されていますが、どの程度の水が高濃度に汚染されているのかを把握することは重要です。

  • 758 × 109 Bq フランスのラ・アーグ再処理工場からの2003年の排水中への放射性物質放出量[1]
  • 13 × 106 Bq / 1cc = 13 × 1012 Bq / ton 福島原発2号機において計測されたヨウ素-131の放射線量
  • 22 × 105 Bq / 1cc = 22 × 1011 Bq / ton 福島原発2号機において計測されたセシウム-134および137の放射線量
  • 252 × 1012 Bq 旧ソ連が1966年から1992年にかけて極東海域に廃棄した固体放射性廃棄物 6,812Ci[2]
  • 455 × 1012 Bq 旧ソ連が1966年から1992年にかけて極東海域[3]に廃棄した液体放射性廃棄物 12,337Ci

もし汚染された水が 40 トン分あるとしたら、旧ソ連が25年間かけて極東海域に廃棄した液体放射性廃棄物の量に匹敵します。

参考
  1. 原子力資料情報室より
  2. 高度情報科学技術研究機構の原子力百科事典より
  3. 資料によると廃棄された放射能量が最も多いのが日本海であるが、健康被害はないとされている

喫煙とシーベルト

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