Doc:Citrus/Okinawa
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&& イシクニブ && C. depressa Hayata form. Ishikunibuz && 果皮が濃橙色で減酸が遅く,晩生でやや矮性である野生種 | && イシクニブ && C. depressa Hayata form. Ishikunibuz && 果皮が濃橙色で減酸が遅く,晩生でやや矮性である野生種 | ||
− | && 在来タチバナ (タニブター) && C. tachibana (Makino) Tanaka var. attenuata | + | && 在来タチバナ (タニブター) && C. tachibana (Makino) Tanaka var. attenuata && シークヮーサー類と異る果皮の香気や腰高な果形,粗く大きな油胞の形状と分布,完熟期における鮮黄の果皮色,丸みのある大きく滑らかな種子,単胚性といった特徴をもつ(日本原産のタチバナは多胚性 [高橋,1970;田中,1948])。完熟期には酸度が0.24%と全く酸味が感じられない。名護市と大宜味村および本部町内でも自生 |
− | && シキキツ && C. madurensis Lour. | + | && シキキツ && C. madurensis Lour. && |
− | && ロクガツミカン && C. rokugatsu hort. ex Yu. Tanaka | + | && ロクガツミカン && C. rokugatsu hort. ex Yu. Tanaka && |
− | && | + | && ケラジ && C. kearji hort. ex Tanaka && ケラジミカン。この栽培種がカーブチー |
− | && カーブチー && C. keraji hort. ex Tanaka var. kabuchii && | + | && カーブチー && C. keraji hort. ex Tanaka var. kabuchii && キカイ(喜界)ミカンとも。カーブチーとは沖縄方言で「皮が厚い」を意味する。樹勢が強く,かつ樹齢の高い樹が存在。珠心胚実生により増殖。タルガヨ、ウンジュは香気に違いがあるが外観が酷似し、ともにカーブチーから派生した雑種もしくはカーブチーと同じ組み合わせで発生した雑種と考えられる |
− | && | + | && タルガヨ && C. tarogayo hort. ex Yu. Tanaka && 果実だけでなく葉、樹形、樹勢の強さもカーブチーに似る。生産量は県内で年間数百キロから1トン弱。ウンジュは含種子数が少なく、生食に向く |
− | && | + | && オートー && C. oto hort. ex Yu. Tanaka && |
− | && | + | && クネンボ && C. nobilis Lour. && 海外からの移入種。15世紀から16世紀にかけて琉球へ渡来し、昭和初期にかけて盛んに栽培が行なわれた。 |
− | && | + | && ダイダイ && C. ?? && 漢字では臭橙、琉球ではデーデーまたはインクニブとも呼ばれる |
− | && | + | && タンカン && C. tankan Hayata && 戦後に栽培が開始された外来種。沖縄ではT-132、垂水1号、名護紅早生の品種がある。沖縄における柑橘生産の4割以上を占め、香りはオレンジとマンダリンの中間的な組成で万人に好まれる。 |
− | && オオベニミカン && C. tangerina hort. ex Tanaka | + | && オオベニミカン && C. tangerina hort. ex Tanaka && 外来種。温州みかんに似て濃い紅色の美しい外観を持つが、味は淡白。奄美ではタンカンが導入される前の主要柑橘 |
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沖縄のカンキツ遺伝資源の特徴として,独特の香りの強さがあげられます(Teramoto and Kawamitsu, 2010)。 | 沖縄のカンキツ遺伝資源の特徴として,独特の香りの強さがあげられます(Teramoto and Kawamitsu, 2010)。 |
Revision as of 11:50, 16 February 2011
このページは
- 稲福(寺本)さゆり学位論文 「琉球列島在来カンキツ遺伝資源に関する研究」 "Studies on Citrus genetic resources in the Ryukyu Islands" (鹿児島大学大学院連合農学研究科)
のまとめになります。
琉球の柑橘
八重山諸島,沖縄諸島,奄美諸島をふくむ琉球列島全域では本土にはない特徴を持つマンダリンタイプの在来カンキツ類が多く残り,最も多いシークヮーサー類(2009年度生産量は3500トン以上)の他にも,カーブチー,オートー,ケラジ,クネンボ(沖縄名:羽地トークニブまたはトークンブ)といった品種が少なくとも数百年以上栽培されています。とりわけクネンボは,少なくとも15世紀までには沖縄へ入り,奄美諸島を経由して九州にもたらされた後,さらに北上して関東へと伝播していったとされる古い種で(伊藝,1994;岩堀・門屋,1999;田中,1957;田中,1948;山田,1994),沖縄本島や奄美諸島に現在残る在来カンキツ類の成立に関与した可能性が指摘されています(山本ら,2010)。
品種名 | 学名 | 説明 |
---|---|---|
シークヮーサー類 | C. depressa Hayata | 沖縄では,酸味があり,香りが強く,熟すると橙色になる小型カンキツ類をすべてシークヮーサー類と呼称している。クガニーとイシクニブはその一系統 |
クガニー | C. depressa Hayata var. kuganiiz | 大果優良系の栽培種。代表的な4つの品種(大宜味クガニー,伊豆味クガニー,勝山クガニー,カーアチー)が含まれる |
イシクニブ | C. depressa Hayata form. Ishikunibuz | 果皮が濃橙色で減酸が遅く,晩生でやや矮性である野生種 |
在来タチバナ (タニブター) | C. tachibana (Makino) Tanaka var. attenuata | シークヮーサー類と異る果皮の香気や腰高な果形,粗く大きな油胞の形状と分布,完熟期における鮮黄の果皮色,丸みのある大きく滑らかな種子,単胚性といった特徴をもつ(日本原産のタチバナは多胚性 [高橋,1970;田中,1948])。完熟期には酸度が0.24%と全く酸味が感じられない。名護市と大宜味村および本部町内でも自生 |
シキキツ | C. madurensis Lour. | |
ロクガツミカン | C. rokugatsu hort. ex Yu. Tanaka | |
ケラジ | C. kearji hort. ex Tanaka | ケラジミカン。この栽培種がカーブチー |
カーブチー | C. keraji hort. ex Tanaka var. kabuchii | キカイ(喜界)ミカンとも。カーブチーとは沖縄方言で「皮が厚い」を意味する。樹勢が強く,かつ樹齢の高い樹が存在。珠心胚実生により増殖。タルガヨ、ウンジュは香気に違いがあるが外観が酷似し、ともにカーブチーから派生した雑種もしくはカーブチーと同じ組み合わせで発生した雑種と考えられる |
タルガヨ | C. tarogayo hort. ex Yu. Tanaka | 果実だけでなく葉、樹形、樹勢の強さもカーブチーに似る。生産量は県内で年間数百キロから1トン弱。ウンジュは含種子数が少なく、生食に向く |
オートー | C. oto hort. ex Yu. Tanaka | |
クネンボ | C. nobilis Lour. | 海外からの移入種。15世紀から16世紀にかけて琉球へ渡来し、昭和初期にかけて盛んに栽培が行なわれた。 |
ダイダイ | C. ?? | 漢字では臭橙、琉球ではデーデーまたはインクニブとも呼ばれる |
タンカン | C. tankan Hayata | 戦後に栽培が開始された外来種。沖縄ではT-132、垂水1号、名護紅早生の品種がある。沖縄における柑橘生産の4割以上を占め、香りはオレンジとマンダリンの中間的な組成で万人に好まれる。 |
オオベニミカン | C. tangerina hort. ex Tanaka | 外来種。温州みかんに似て濃い紅色の美しい外観を持つが、味は淡白。奄美ではタンカンが導入される前の主要柑橘 |
沖縄のカンキツ遺伝資源の特徴として,独特の香りの強さがあげられます(Teramoto and Kawamitsu, 2010)。