Aritalab:Lecture/NetworkBiology/Percolation
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:5. ある格子点が含まれる、有限の大きさのクラスターの平均サイズ | :5. ある格子点が含まれる、有限の大きさのクラスターの平均サイズ | ||
::<math>S = \frac{\sum_{s,t} s p_{s,t}}{F} = \frac{\sum_s s P_s}{\sum_s P_s} = \Bigg[ x\frac{\partial}{\partial x}\log A(x,y) \Bigg]_{x=p,\ y=1-p}</math> | ::<math>S = \frac{\sum_{s,t} s p_{s,t}}{F} = \frac{\sum_s s P_s}{\sum_s P_s} = \Bigg[ x\frac{\partial}{\partial x}\log A(x,y) \Bigg]_{x=p,\ y=1-p}</math> | ||
− | :6. | + | :6. 個々のクラスターを1回だけ数えたときの、クラスターの平均サイズ |
− | ::<math>\langle s \rangle = \frac{\sum_s P_s}{\sum_s (1/s)P_s} | + | ::<math>\langle s \rangle = \frac{\sum_s P_s}{\sum_s (1/s)P_s}</math> |
==一次元の場合== | ==一次元の場合== | ||
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式<math>p^r</math>は<math>p</math>が閾値<math>p_c</math>に近いとき展開公式<math>\textstyle \log(1-x) = -x</math>を用いて<math>\textstyle g(r) = exp(\frac{-r}{\xi})</math>と書ける。ただし<math>\textstyle \xi = -\frac{1}{\log(p)} = \frac{1}{1 - p} = \frac{1}{p_c-p}</math>である。この<math>\xi</math>を相関距離といい、大まかにいってクラスターの差し渡しに比例する。また一次元の場合は、<math>\textstyle S \varpropto \xi \ (p \rightarrow p_c)</math>が成立している。 | 式<math>p^r</math>は<math>p</math>が閾値<math>p_c</math>に近いとき展開公式<math>\textstyle \log(1-x) = -x</math>を用いて<math>\textstyle g(r) = exp(\frac{-r}{\xi})</math>と書ける。ただし<math>\textstyle \xi = -\frac{1}{\log(p)} = \frac{1}{1 - p} = \frac{1}{p_c-p}</math>である。この<math>\xi</math>を相関距離といい、大まかにいってクラスターの差し渡しに比例する。また一次元の場合は、<math>\textstyle S \varpropto \xi \ (p \rightarrow p_c)</math>が成立している。 | ||
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==木またはベーテ格子の場合== | ==木またはベーテ格子の場合== |
Revision as of 21:23, 11 June 2010
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パーコレーションとは
パーコレーション(浸透)理論 (percolation theory) は、非常に大きな格子において各格子点が周囲とは全く独立に確率pで占有されるときに生成されるクラスターを解析する。 様々な格子において、確率pがある閾値に達すると、無限に大きなクラスターが存在し始めることが知られている(臨界現象)。この値を浸透閾値 (percolation threshold) と呼ぶ。浸透閾値はほとんどの場合について厳密解が求まっていないが、数値シミュレーション等で解析されている。
ボンド過程とサイト過程
上記のように格子点が確率pで占有される過程は正確にはサイト過程と呼ぶ。これに対して、格子点と格子点を結ぶ辺(ボンド)が確率pで開閉されると考えて生成するクラスターを解析する場合は、ボンド過程と呼ぶ。
主な浸透閾値 (*は厳密解) | ||
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格子の種類 | サイト | ボンド |
蜂の巣 | 0.697043 | 0.65271* |
正方 | 0.5927462 | 1/2 * |
三角 | 1/2 * | 0.34729* |
ダイヤモンド | 0.4301 | 0.3893 |
単純立方 | 0.311608 | 0.248813 |
体心立方 | 0.245691 | 0.180287 |
面心立方[1] | 0.199236 | 0.120163 |
d=4 超立方 | 0.196885 | 0.160131 |
d=5 超立方 | 0.140797 | 0.118172 |
d=6 超立方 | 0.109018 | 0.094202 |
d=7 超立方 | 0.088951 | 0.078675 |
</center>
クラスターと周縁
各格子点は確率pで占有されるとし、占有された格子点の集まりをクラスターと呼ぶ。特に、大きさがsのクラスターをs-クラスターと呼ぶ。クラスターの周囲の格子点は空でなくてはならない。クラスターに隣接する空の格子点群を周縁 (perimeter) と呼ぶ。クラスターが大きくなると内部にも周縁が存在しうるので、周縁と周囲は異なることに注意しよう。
ある格子点を含む、大きさs、周縁tの異なるクラスターの数をであらわす。2次元格子の場合、以下のようになる。
母関数とよく使う記法
これからよく使う記法を母関数を使ってまとめておく。
- 1. ある格子点が、大きさs、周縁tのクラスターに含まれる確率
- 2. ある格子点が、s-クラスターに含まれる確率
- 3. ある格子点が、有限の大きさのクラスターに含まれる確率
- 4. ある格子点が、無限大のクラスターに含まれる確率 (=浸透確率)
- 5. ある格子点が含まれる、有限の大きさのクラスターの平均サイズ
- 6. 個々のクラスターを1回だけ数えたときの、クラスターの平均サイズ
一次元の場合
一次元の場合は、多くの問いに対して厳密解を求めることができる。 無限に長い直線上に、定められた間隔で格子点をおく。 無限に伸びるクラスターができるためには全ての格子点が占有されなくてはならないのでである。
大きさsのクラスター
大きさがsのクラスター(s-クラスターと呼ぶ)が生じる確率は。
ある点が、一つのs-クラスターに含まれる確率は、クラスター中のどの点に該当しても良いからFailed to parse (lexing error): s n_s 。
ある点が、どんなサイズでもよいからクラスターに含まれる確率はpなので、。
クラスターの平均サイズ S
あるクラスター中の点を考えたとき、属しているクラスターのサイズがsである確率は。
クラスターの平均サイズは、全ての格子点を等確率に選んでそれが属する平均的サイズをかけたものに等しいから。 これはに等しい。つまりが1に近づくとクラスターの平均サイズは発散する(あたりまえ)。
- 証明
- 補題
補題より、クラスターの平均サイズは。(証明終)
相関関数
ある占有された格子点からだけ離れた格子点が同じクラスターに属する確率をであらわす。一般にが成立する。
- 証明
- 一次元の場合はrステップ離れた箇所まで全ての点が占有されねばならないからが成立。
- 。(証明終)
式はが閾値に近いとき展開公式を用いてと書ける。ただしである。このを相関距離といい、大まかにいってクラスターの差し渡しに比例する。また一次元の場合は、が成立している。
木またはベーテ格子の場合
次数が一定で無限に大きな木をベーテ格子と呼ぶ(有限の場合はケーリー木と呼んでもよい)。 磁性を扱う方法の一つであるベーテ近似によりこの木の厳密解が求まるためにベーテ格子と呼ぶようになった。
パーコレーション確率 P
次数がdの木の場合、原点はd本の枝を持つ。残りの点は通ってきた点のほかにd-1本の枝を持ち、それらの先に確率pで占有される格子点が存在する。
先に進める確率は(d-1)pになるので、無限大のクラスターが存在し始める値は。これより低いpの値では、無限に大きなクラスターは決して存在しない。
p > p_cのとき(無限に大きいクラスターがあるとき)、任意に選んだ点が無限に広がるネットワークに属する確率(パーコレーション確率)を求める。(一次元の場合はのときに限って無限に大きなクラスターが存在できるため、は考えなかった。)
簡単のために限定する。
任意の格子点が、それから始まる枝のうち一つを通しては無限遠につながらない確率をQとする。
ある近接した格子点から外に無限遠へつながらない確率は、その格子点が占有されていないか、占有されてもその先でつながらない確率を足したもの。
これはQに等しいはずなので。これを解くと。
の場合は無限遠に決してつながらないから。したがってのみを考える。
原点が占有されていても無限遠につながらない確率は。
式変形して。
クラスターの平均サイズ S
ある枝に属している格子点の数の平均をと書く。
近接する格子点が占有されていればその格子点プラス二つの枝の平均が付け加わるので。
これを解くとのときに限り。
原点が属するクラスターの平均サイズは。ここでも。
一次元と木のまとめ
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